私の実家は、年間居るのは、わずか2軒という山のうえ。小学校への通学は、徒歩で、帰る道は1時間ぐらいの道のりでした。道々、妹とよくけんかもしま した。春になると、ヘビが出てきたり、から松の新緑のにおいを嗅ぎ、山あじさいを楽しみ・・・夏には、天皇陛下も飲まれたという冷たい湧き水のあるところ に寄り道をしたり・・・。

  雪が降ると、長靴の中に雪がはいらないように、ズボンのうえに、母のもんぺ(ウエストにも足首にもゴムがはいっている、もめんの仕事着ズボン)をすっ ぽりはきます。そして、町に降りて、雪かきがしてある所まで来ると、もんぺを脱ぎ、林の中にかくして、学校へ行くという生活でした。そんな幼少時代の環境 が、今の私の体力と感性を育んでくれたと思います。

  ユリ・シュルヴィッツの「ゆき」(ユリ・シュルヴィッツ 作 さくま ゆみこ 訳 あすなろ書房)も大好きな絵本です。

  はいいろの空から、ひとひたのゆきがまいおりてきました。「ゆきがふってるよ」おとこのこがいいました。「どうってことないな」「すぐにとけるわ」 「これっぽっちではふっているといえない」- という大人の言葉。ゆきはあとからあとから降って、いつしかまちじゅうがまっしろ。「わーい、ゆきだよ」静 かな静かな雪の舞い始めから銀世界になっていく家庭を、ゆっくり楽しむ時間が無い日々。この絵本で、そのひとときを楽しみます。

  過日、東京に大雪が降った日、息子とその仲間達だけが、雪の中で遊んでいました。もう、何年も前から、子ども達が、雪とも遊べなくなっていることは、大きな問題だと思いながら「ゆき」の絵本を、めくる季節になりました・・・。 (小川 三枝子)