幼少の頃、お豆腐屋を営む祖父母の家に預けられたことがありました。遊び相手もいない私は、家の周りを恐る恐る少しずつ遠くへ行ってみました。勇気を出して前へ進めた!という満足感と小さな自信を得たことを、今でも覚えています。

  子どもは「自分で出来た!」という小さな自信を積み重ねていって、自立していくのではないかと思っています。「あの森へ」(クレア・A・ニヴォラ 作 柳田 邦男 訳 評論社)という絵本を見つけた時、あの気持ちが蘇りました。

  子ネズミは「あの森」が恐ろしくて仕方ありません。ある日、勇気を出して「あの森」へ行ってみる決心をします。玄関で家の中を振り返り出かけます。そして、こわごわとたどり着いた「あの森」は「いろんなものがやさしくささやきあう世界」でした。

  中学1年の娘の保護者会で「友達どうしで渋谷に行きたいと言う。どうしたらよいか」と話題になりました。4人を育てている少し先輩の母として、私はこの本を紹介しました。子どもの自立のためには出してあげる必要性と、安全のために親同士のコミュニケーションが大事と話しました。危険が増している近頃、保護ばかりが先にたってしまいがちです。子どもの自立を見守るのは、ハラハラドキドキでもあります。私も、まだ真最中です。

  「せかいじゅうで いちばん よわむし」の男の子ラチが、“勇気”を知る「ラチとらいおん」(マーク・ベロニカ ぶん・え とくなが やすもと やく 福音館書店)も大好きな一冊です。(小川 三枝子)