ノンフィクション作家の柳田邦男さんは、人生で最もきびしい試練に立たされた時、絵本に心が癒されたとおっしゃっています。そして「大人こそ絵本を」との活動もなさっています。

  我が家の長男は長い間「悩みの種」くんでした。私は、様々悩み「どうにでもなって」と思ったことも何度も。それでも夫に支えられ、ほうり投げることなくやっ
てくることができました。

  そんな私の気持ちにぴったりきた絵本が「ぼく にげちゃうよ」(マーガレット・ワイズ・ブラウン著 クレメント・ハード絵 岩田みみ 訳 ほるぷ出 版)です。「こうさぎ」は家を出て「ぼくにげちゃうよ」と、おかあさんうさぎに言います。おかあさんは「おまえが逃げたら、わたしは追いかけますよ。だっ ておまえは私のかわいいぼうやだもの」と。こうさぎは次々に変身してにげるのですが、おかあさんうさぎもまた変身してどこまでも離しません。最後に、こう さぎは逃げるのをやめます。「さあ、ぼうや、にんじんをおあがり」という物語です。

  子育てがうまくいかないことを長く悩むと、ほうり出したくなることがあります。そんな時に、この小さな絵本が「負けないで」と、後押しをしてくれるのではと思う一冊です。

  息子は今、大学を中退し、夢であった短期間のアメリカ留学を自力でやっています。無事を祈るばかりです。(小川 三枝子)